刑法の一部改正等の法案が国会で審議され、平成25年6月13日に成立しました。
一度、審議未了・廃案となった後、第183回国会に再度提出されていました。
刑法等の一部を改正する法律案(第183回国会内閣提出第37号)の提出理由
近年、犯罪者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み、犯罪者が再び犯罪をすることを防ぐため、前に禁錮以上の実刑に処せられたことがない者等について、刑の一部の執行を猶予することを可能とする制度を導入するとともに、保護観察等の充実強化を図るため、地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を行うことを保護観察の特別遵守事項に加えること、規制薬物等に対する依存がある者に対する保護観察の特則を定めることその他所要の規定を整備する必要がある。
薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案(第183回国会内閣提出第38号)の提出理由
近年、薬物使用等の罪を犯した者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することにより、薬物使用等の罪を犯した者が再び犯罪をすることを防ぐため、これらの者に対する刑の一部の執行猶予に関し、その言渡しをすることができる者の範囲及び猶予の期間中の保護観察等について刑法の特則を定める必要がある。
国会の審議状況は次のようになっています。
平成25年6月13日 衆議院本会議において議決(可決−全会一致)
平成25年6月11日 衆議院法務委員会において議決(可決−全会一致、附帯決議あり)
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議
政府及び最高裁判所は、両法の施行に当たり、特に次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 施設内処遇と社会内処遇の連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。加えて、再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割の重要性に鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、緊密な連携強化を図っていくこと。
二 裁判員裁判においても刑の一部の執行猶予の適用がなされ得ることを踏まえ、裁判員に対して制度の趣旨及び内容についての情報提供が十分に行われるよう努めるとともに、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、その趣旨の徹底に努めること。
三 社会貢献活動の実施後、事例の収集を行うとともに、一定期間経過後にその効果の検証及びより改善更生に資する運営を行うために外部の有識者も入れた会議を設置して調査・検討を行うとともに、薬物事犯者の処遇に当たっては、関係機関との更なる連携を強化し、本制度の施行後、両法の対象となった者の再犯状況を検証し、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
平成25年6月7日 衆議院法務委員会において趣旨説明、質疑
平成25年6月6日 衆議院法務委員会へ付託
平成25年6月5日 参議院本会議において議決(可決−全会一致)、衆議院議案受理
*参議院の議事録を参照する場合は、国会会議録検索システムで。
平成25年5月30日 参議院法務委員会において質疑、議決(可決−全会一致、附帯決議あり)
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議
政府は、両法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 更生保護の責務は国が負うべきものであることを踏まえ、両法の施行までに、施設内処遇と社会内処遇の有機的な連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。
二 刑の一部の執行猶予の適用に当たっては、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、関係刑事司法機関とその趣旨について情報の共有化に努めるとともに、両法の適正な運用を図るため、その施行状況を把握する体制を整備すること。
三 薬物事犯者の処遇に当たっては、民間の医療・社会福祉関係機関及び地方公共団体との更なる連携を強化し、その治療体制の拡充及び地域での効果的なフォローアップなど、改善更生及び再犯防止の実効性を高めるための施策の充実を図ること。
四 再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割は大きく、その機能の拡充が緊要となっていることに鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、保護観察等における緊密な連携強化を図っていくこと。
五 社会貢献活動については、どのような活動・期間が再犯防止等に有効か十分検証を行い、民間の自立更生支援団体等とも緊密な連携を図るとともに、地域住民等関係者の不安を払拭するため、効果的な体制を設けること。
六 再犯を防止するためには、刑務所出所者等の就労の促進安定が効果的であることに鑑み、昨今の厳しい雇用・経済情勢に対応したよりきめ細やかな就労支援・雇用確保を一層推進していくこと。
七 政府のこれまでの再犯防止施策について適正な評価を行うとともに、両法の対象とならなかった事犯者の再犯防止等を図るため、諸外国で導入されている保護観察の充実強化策の例も踏まえながら、引き続き有効な施策を研究調査し実施できるよう努めること。
八 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予が、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することによりその再犯を防ぐためのものであることを踏まえ、本制度の施行後、薬物使用等の罪を犯した者の再犯状況について当委員会に報告するとともに、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
九 東日本大震災の被災地においては、今も多数の保護司等が活動困難な状態に陥っていることに鑑み、その更生保護体制について、保護司の充足に加え、地方公共団体及び医療・社会福祉関係機関等との連携体制の整備に万全を期するとともに、両法の施行に当たっては、被災地の状況に十分配慮すること。
右決議する。
平成25年5月28日 参議院法務委員会において趣旨説明
平成25年5月27日 参議院法務委員会へ付託
平成25年3月22日 衆議院予備審査議案受理、参議院議案受理
(以下は第179回国会内閣提出第13号・第14号の国会審議状況です。)
平成24年10月29日 衆議院法務委員会で審議未了、廃案
平成24年8月7日 衆議院法務委員会において質疑 (主な質疑内容)/(会議録)
平成24年8月3日 衆議院法務委員会において趣旨説明、質疑 (主な質疑内容)/(会議録)
平成23年12月9日 衆議院法務委員会へ付託(閉会中審査に関する件)
平成23年12月8日 衆議院へ付託
平成23年12月2日 参議院本会議において議決(可決−全会一致)
平成23年11月29日 参議院法務委員会において議決(可決−全会一致、附帯決議あり)
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議
政府は、両法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 更生保護の責務は国が負うべきものであることを踏まえ、両法の施行までに、施設内処遇と社会内処遇の有機的な連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。
二 刑の一部の執行猶予の適用に当たっては、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、関係刑事司法機関とその趣旨について情報の共有化に努めるとともに、両法の適正な運用を図るため、その施行状況を把握する体制を整備すること。
三 薬物事犯者の処遇に当たっては、民間の医療・社会福祉関係機関及び地方公共団体との更なる連携を強化し、その治療体制の拡充及び地域での効果的なフォローアップなど、改善更生及び再犯防止の実効性を高めるための施策の充実を図ること。
四 再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割は大きく、その機能の拡充が緊要となっていることに鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、保護観察等における緊密な連携強化を図っていくこと。
五 社会貢献活動については、どのような活動・期間が再犯防止等に有効か十分検証を行い、民間の自立更生支援団体等とも緊密な連携を図るとともに、地域住民等関係者の不安を払拭するため、効果的な体制を設けること。
六 再犯を防止するためには、刑務所出所者等の就労の促進安定が効果的であることに鑑み、昨今の厳しい雇用・経済情勢に対応したよりきめ細やかな就労支援・雇用確保を一層推進していくこと。
七 政府のこれまでの再犯防止施策について適正な評価を行うとともに、両法の対象とならなかった事犯者の再犯防止等を図るため、諸外国で導入されている保護観察の充実強化策の例も踏まえながら、引き続き有効な施策を研究調査し実施できるよう努めること。
八 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予が、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することによりその再犯を防ぐためのものであることを踏まえ、本制度の施行後、薬物使用等の罪を犯した者の再犯状況について当委員会に報告するとともに、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
九 東日本大震災の被災地においては、多数の保護司等が活動困難な状態に陥っていることに鑑み、その更生保護体制について、保護司の充足に加え、地方公共団体及び医療・社会福祉関係機関等との連携体制の整備に万全を期するとともに、両法の施行に当たっては、被災地の状況に十分配慮すること。
右決議する。
平成23年11月24日 参議院法務委員会において質疑
平成23年11月22日 参議院法務委員会へ付託、趣旨説明
平成23年11月4日 衆議院予備審査議案受理、参議院議案受理
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