歌劇「運命の力」序曲 (G. ヴェルディ 作曲)吹奏楽編曲
“La Forza del Destino” Sinfonia
(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi) (Arr. by TETSUKA, Toru)
フルスコア(PDF)はこのページからダウンロードできます。
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歌劇「運命の力」は、公爵の娘レオノーラとその恋人ドン・アルヴァーロの駆け落ちに始まり、数奇な運命に翻弄されて登場人物の様々な苦難と死が重なっていく悲劇です。主な登場人物全員が死亡するほかセンセーショナルな台詞を含んだ原典版はロシアで初演されました。レオノーラを生かすなど台本をややソフトにした改訂版をイタリア・ミラノのスカラ座で上演するに当たり、原典版の短い前奏曲を大幅に拡大して導入されたのがこの序曲です。
原曲は2管編成の管弦楽(オーケストラ)で、金管低音にはチンバッソが使われています。
データリスト
演奏時間 約8分20秒
調 【原調版】原調 ホ短調(♯1)〜ホ長調(♯4)
【移調版】変ホ短調(♭6)〜変ホ長調(♭3)
楽器編成(*は省略可)
- ピッコロ、フルート2
- *オーボエ2、*バスーン2
- *E♭クラリネット、B♭クラリネット3(divあり)、*アルト・クラリネット、バス・クラリネット
- アルト・サクソフォーン2、テナー・サクソフォーン、バリトン・サクソフォーン
- トランペット3、ホルン4、トロンボーン4、ユーフォニアム、チューバ
- *コントラバス
- *ハープ2、ティンパニ、パーカッション4(クラッシュ・シンバル、バスドラム、シロフォン、マリンバ)
(*は省略可。ソロなどは他の楽器に代理演奏用の小さな音符を加えています。)
日本での標準的な編成を念頭に置いて編曲していますが、トロンボーンは4本としました(4thはバス・トロンボーン、原曲ではチンバッソです)。ハープは原曲のとおり2本を使用します(省略可能ですが、できれば1本はほしいところです)。
大編成から中程度の編成まで演奏可能です。
フルスコアのダウンロード
吹奏楽編曲フルスコア 歌劇「運命の力」序曲 原調版(v2)(PDF、27ページ、約3.2MB)

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管弦楽フルスコア 歌劇「運命の力」序曲(IMSLPサイト、英語)
曲の試聴
原調版の試聴音源を聴く、または右クリックしてダウンロード(MP3音源)
移調版の試聴音源を聴く、または右クリックしてダウンロード(MP3音源)
(試聴音源の演奏時間:8分18秒)
編曲のコメント
原調版:ホ短調(♯1)/移調版:変ホ短調(♭6)、2/4拍子 Allegro brillante
〜 3/8拍子 Allegro agitate e presto
〜 2/4拍子 Tempo I˚
〜 Andantino
〜 4/4拍子 Andante mosso
〜 3/8拍子 Presto come prima
〜 4/4拍子 Andante come prima
〜 原調版:ホ長調(♯4)/移調版:変ホ長調(♭3)、4/4拍子 Allegro brillante
原調版と移調版の2つをアップしました。原調版は♯が多く、特に後半(ホ長調)の演奏難易度がかなり高くなります。全体的には移調版の方が演奏が容易と思われます(前半には♭が多いですが)。
冒頭は金管群とバスーンのユニゾン実音E(移調版でEs(E♭))で、修道士たちの祈りのモチーフです。フォルテで輝かしく(神々しく)。決してフォルティッシモで荒々しくではないので注意。
プレストは心をかき乱すような「運命の主題」から始まり、だんだん急き立てるように盛り上がります。25小節目からの2ndアルトサックス、テナーサックスは、原曲ではビオラパートで、拍頭を強めにして3拍子を強調する感じがよいでしょう。
43小節目(テンポプリモ)で冒頭のユニゾンが再び演奏されます。43小節目の四分音符はそれなりに長いので、その前小節までの八分音符につられて短すぎないよう注意。
51小節目アンダンティーノは、第4幕で神父として許しを請うドン・アルヴァーロ(フルート、オーボエ、クラリネット)と、復讐のための決闘を迫るドン・カルロ(レオノーラの兄)(アルトサックス、原曲は第1バイオリン)の二重唱です。対比を明確にして表現するのが良いでしょう。
68小節目アンダンテ・モッソは、修道院でのレオノーラの祈りと願いのアリアを、フルートとアルトサックスのユニゾン(オクターブ違い)で始めました(原曲は第1・第2バイオリンで始まります)。マリンバはクラリネットと溶け合って弦のトレモロ感を出すようにしています。徐々に大きくなるところで、伴奏側のトロンボーン(とチンバッソ)が演奏する細かい動きをユーフォニアム、チューバに移しています。
プレストに戻りアルヴァーロとカルロの二重奏の後、122小節目アンダンテはゆったりとしたクラリネット、オーボエ、フルートと短いソロが続きます。ここの伴奏(原曲は弦楽合奏のピチカート)はソロとの対比のためクラリネットを使わず、トロンボーン等の金管の役割としています。
129小節目アレグロ・ブリランテからのクラリネット・ソロは、男装して修道士として山の洞窟にこもることにしたレオノーラが他の修道士達と共に神に祈りを捧げる歌です。ハープの伴奏は代奏可能ですが、できればハープと共演したいところです。
149小節目から雰囲気が変わり高揚したあとに、169小節目から金管の清らかなコラールと木管のフレーズが掛け合いになります。コラールは吹き方を合わせましょう。
183小節目からまた雰囲気が変わり運命の主題で小さく始まって高揚し、201小節目でレオノーラのアリアがグランディオーソで最高潮に達します。
207小節目、レオノーラの神に祈りを捧げる歌が変奏の形で現れ、フィナーレへ進んでいきます。
修正履歴
修正予定 (v3)
- 81小節目、移調版のバリトン・サクソフォーンに音域外の低音を誤って書いているので、その音だけオクターブ上げてください。(吹き真似でも実質大丈夫かと思われます。)
2019(R元).8.10版(v2)
- フルスコアの拍子記号をまとめて大きくした。
- 198〜199小節目、クラリネットの1stと2ndで分けていた16分音符の刻みを、どちらもdiv.で同様に記譜した。
- 205〜206小節目、その前に16分音符で刻んでいた木管楽器をここでも刻むように指定した。
- 249小節目、1stトランペットの音の誤りを修正した。
2015(H27).7.2版(v1)
- 初版。
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